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弦と人は緩むと美声を出さない

執筆者の写真: Yadaka103Yadaka103

更新日:2024年10月18日


こんにちは。矢高です。 6年ぶりに受けた大学受験、受かってる気がしません。まぁこういう時は落ちてるものです。堪忍しましょう。(記事書いてるうちに落ちてました。合掌🙏)



いきなりですが、私は過去に馬頭琴という民族楽器を自作したことがありました

馬頭琴。別名をモリンホール(Morin khuur)とも言います。モンゴルのでかいバイオリンみたいなやつです。国語の教科書や絵本で「スーホの白い馬」を知っている方ならそこそこいるのでは?そんなのを作ったよとの報告です。

カラオケにて、私の2丁と友人のバイオリン。楽しかった。

というのも今更ながら、このサイトの自己紹介ページには

音楽(ギター、馬頭琴)であったり

と物珍しい単語を出しているのにも関わらず、それでいて既に書いてありそうな今回のテーマをずーっとサボって来ました。

いや、本当は!腰を上げる機会自体は、本当は何度かあったんです!弦が切れて編み直した時とか、Tシャツでカバー作った時とか、三味線のお兄さんに会った時とか、カバー作り直した時とか...その度に書こうとしていたのですが、想像を絶するだらしなさルーズさによって、ふと気が付けば1年です。遅い報告になったことをここに口供致します。



ということで、まずは動機ですね。

斯く言う私は万年中二病、走りは小学生時代のリボーンの匣兵器から蟲師や東京レイブンズ、中古日本の祝詞とかサンスクリット真言とかの呪文などは大好きですし、好きなロックバンドはEquilibriumでございます。そういう伝統的な古き良き民族文化を好んで神話や経典を学び知っていく中で、じゃあそれを受けた自分の心がどんな状態にあるのか知りたくなった訳で、感性の発露のきっかけに成り得る媒体が欲しくなる訳です。掻き暗して時間を浪費するだけというのは勿体ありません。そうと決まればいざ芸術!

詩は詠んでいました。歌を歌うのも好きです。絵心は敗退しています。楽器といえば、ギターはコード弾きに毛が生えた程度。楽しめはしましたが、感情を乗せるにしては楽器自体が何とも体が合わないと言うかなんと言うか...

日本だったら三味線かな!とも思ったのですが、皮を使う作業は初心者が行うには些か難度が高すぎやしないかと断念。中華音楽も好きで二胡なんかも検討しましたが、同じ理由で却下です。ヘビビ...ネチコャン...。

ここで、タングート漫画シュトヘルに出てきた、木製で動物モチーフの付いた温かみ溢れるあの楽器、あれ可愛いし格好良いし作ろっか!と、このような運びになりました。


でもまずはどう作るかです。それこそメジャーな楽器とかだったら資料集めに困らないとは思いますけれど、馬頭琴です。ちゃんと作成に十分な情報が集められるか不安でした。最初はGoogle翻訳を使って中国語モンゴル語で資料を集めていたのですが、なかなか良い画像やサイトが見つからない...動画はちらほら良いのがあるけど、いちいち止めてスクショしてってのも少し面倒...。諦めて日本語で頑張って検索していると、こらまた運よく実際に制作工程の写真が載っている、日本人の方のブログ「馬頭琴日記」を発見。ここを参考にして、まずはどう作るかを考えていきます。

御ブログ主様、写真等の大変に分かりやすく、有難く拝見させて頂きました。

ヘッドです。馬の装飾部分は流石に木材一本削るのは骨が折れます。ので、妥協して3つのパーツに分け、あとで接着しようとしています。下部のペグ機構で圧がかかり木材が割れないように、ネックとの接合部はN字にして強度性を上るように設計しました。

ネックから共鳴箱を貫通させエンドピンまで一本で作るか、この時点ではブレており設計図を見ると箱の中で部品が分かれています。まぁ結局のところ、良い材料が見つかったので一本まるごと通して作ることができました。

あとはボックスと細かい部品ですね。表板と裏板を2,3mmほど歪ませるとしたらやはり削るしかないのか...?強度の為にも共鳴の為にもバスバーと魂柱はしっかり入れときます。テールピースと駒は適当に作っても問題あれば後から手直しし易いですし、まぁどうにかなるでしょう...



コーナンで大量の木材と、あとは道具ですね。クランプ,やすり,手鋸を買い、地下鉄に乗ってどんぶらこ。

さぁ、木彫り開始です!

ここはヘッド部分ですね。角度を測って線を引いて、ペグ機構部をくり抜いて、ペグが締まるように太さに緩急をつけて削ります。そして肝心な部分。お馬さんの魂を想いながら、心を込めて、彫ります。彫る...彫る...ひたすら...彫る...


肩が凝るので、息抜きに少しずつ一本柱を成形。ネック部は滑りが命になるはずなので、綺麗なラインを目指しヤスリ掛けをします。あとは箱の上板に引っかかるように段差を作る必要がありました。エンドピンまで一本なので、段差を作ると箱貫通部を手鋸で細く縦切りする重労働作業をしなければなりません。あぁ、息抜きでやっていた筈なのに...馬もまだ彫り終わってない...あぁ、息抜きが欲しい...


息抜きver2、弓です。手頃な丸棒を用意します。弓先と持ち手にパーツが引っかかるよう窪みを作り、持ち手側パーツに穴をあけます。パーツをはめて、はい。完成です。簡単すぎる。なかなかに様になっています。簡単すぎる。仮張りでビニール紐を使ってますね。簡単すぎる。

問題点として、弓弦を巻く機構を付けられなかったという事が挙げられます。頭を絞っても思い付きませんでした。致命的な欠陥です。どうやって張り詰めるんだよ...POWER...?


共鳴箱です。上下と側面の板の接合部を凹凸の形にして噛ませ、上下板に軸を通す穴を開けます。板を張る前に仮組みしたのが1枚目ですね。表板,裏板に濡れ雑巾を乗せ、裏からドライヤーで熱して歪みを持たせます。音孔、どんな形が正解なんすかね...?とりあえず材料が安いので割れるのが怖く、シンプルに仕上げました。魂柱を接着し、粗削りのバスバーを接着してから削り直し、満足したら箱を閉じます。


さぁ残るは少しです!お馬さんのお顔も彫り終えたら、全てを接着していきます...おぉ...ワクワクしますね。部品から設計から全部を自分で作ったレゴの最終組み上げ作業です。

仕上げにダイソーニスを塗っていきましょう!本体、ペグ、弓に満遍なく塗って、お風呂で乾燥させます。多分ですけど二度塗りしたんじゃないかな。下駒やテールピースなど細かい部品は塗らなくても良いかなと思って塗ってません。ちょっとでも楽に行かないと、私は途中で飽きて放り投げちゃいそうな気がして。

無理してまで頑張らず、楽しく出来ること。それこそが娯楽の大切な要です。


ナイロンテグスを束ねて弦にして...

弓の弦もナイロンを束ねて...

完成です!!!

密林購入の激安松脂を塗って調弦、試奏。もう感動の音でした。あぁ...いい...


いやぁここまで長かった...

全体105cmぐらいでしょうかね。ギター経験者なら、左に映っているmyギターの鯖缶くんと比べると何となく大きさが分かるかもしれません。


でも当たり前ですけれど、ここで終わりじゃないんですね。ここは馬頭琴の製作の終止符であり、これから始まる馬頭琴istのスタートライン。楽器は音を奏でて初めて光る存在ですからね。鍛錬を積み重ねて往きたい所でございます。


...といいつつ、実は恥ずかしながら色々な所で不満や故障を繰り返しているので、素人の腕はやはり素人だった感じですね。

まず今使っているテールピースは構造上の欠陥で1回ぶっ壊れております。エンドピンとを繋ぐ紐かけ部分の強度が足りなかったんですね。今は再度穴あけ加工したもの、初号機改を使って運用しています。もう大丈夫なんじゃないですかね。信じてますよ、私は。

芝生バックの写真はあれですね、引っ越しした後、早朝に家の前の公園で弾いていたら今度は紐が切れてしまい、その場に生えていた草を使ってタコ紐を通して応急修理している時のものです。早朝気持ちよく起きれてウキウキで弾きに行ってのこれ。ガチ萎えして、再度練習する気になれずに秒で帰ったんだったかしら。

あとは弦ですね。実は1回弦を編み直して張り替えています。柔らかすぎた。高音域を出すと、弦がたわんでギシギシとノイズが増えます。演奏に直結する欠点なので張り直しました。最初は50本ぐらいだったので、思い切って90本にしました。

ナイロン糸を90本です。1メーターのナイロン糸を、90本。30本をしっかり梳いて束にして、三つ編みにして、90本。これが低音。高音用の弦もあります。2弦の楽器ですからね。20x3で、60本。全部で150本。編みました。大変でした。

でもまだ柔らかくて、また新しいのを編もうかと企んでおります。ぃゃぁどうなるか...


あとは友人のギタリストに心配されたのが、「梅雨を繰り返してネックが捻じれないか」という問題です。

うーむ...これは弦を指板に押さえつけるギターなら致命傷なのですが、馬頭琴はネックに弦を押し付けないで音程が変えられるので、私はある程度なら大丈夫だと思ってます。流石に歪みの左右差が顕著に出る程だとテールピースやヘッド-ネック接合部に負荷がかかるかも知れません。...素材選びの時も出来るだけ歪んでないの選んだし(全く歪みがないとは言ってない)、まぁそん時はそん時です。




いかがだったでしょうか。工作初心者の中二病が初めて楽器を作ってみた!はこんな感じです。ほんっと楽しかったし、良い経験になりました。

どうでもいいんですけど、勝手にこの彼女のことをマコトと名付けています。私の想う本音の心を、彼女と共に音として昇華できたらと思っての、マコト。馬の琴、誠実の誠、他にもマントラや言霊としての真言...今考えると色々な意味があてられて、我ながらセンスの良い命名でした。

物事に名前があるのは良い事です。名前を呼んだ時、その音には意味が込められます。

ちょっと、ひとつずつ呼んでみて下さい。ただ読むのでなく、呼ぶんです。


サイダー。 冬。 おばあちゃん。 台風。 かもめ。 横断歩道。 お伽話。


...凄くないですか?頭の中には、関連するイメージが沢山溢れます。1単語に色々な意味がポコポコとくっ付いて、ひとつの大きな言葉になります。でもこのイメージをまとめているのは、ただただ、これっぽっちの短い言葉なんですよね。

人でも、物でも、名前を呼んでみて下さい。その口から出た意味には価値があり、呼んだ声は心の中で大きな渦を起こし、周りの色々を巻き込みます。その度に色々な想起を経験して、人の心は深く豊かになると私は考えています。だから、物事に名前があるのは良い事だと言ったんです。

ほら、けいおん!の唯ちゃんも自分のギターに名前つけてるじゃないですか。だから名前を付けてるだけでドン引きしないで下さい、お願いします。



ほんとに記事書くとなると熱中して夜になる。熱中し夜。バカな事を言うようになるので皆様はしっかり睡眠時間をとって、健やかであられるよう願っております。ではでは、そろそろ寝る事にします。

最後までお付き合い下さり有難うございました。おやすみなさいませ。

頼むから杉は山ごと全焼してくれ。



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Comments


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Yadaka103

石が好きです。

いやぁ、山の中は良いですね。コンクリートジャングルには無いあの清々しさ...ひと呼吸ごとに体を巡るあの感覚...たまらん。

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